明るいオカンの作り方

背中をおした私のことば

 

あなたの笑顔にあかりをともす!*アカリトモス*プレゼンター 栗本です。
今回は、8月にぱ~ぷるママ+アプリに掲載された内容を、加筆してお送りします。

 

第5回目は「背中をおした私のことば」です。

 

「背中をおした」シリーズ最終回になります。
保育所に通いだして1年が経ったある日、帰ろうとした私を後ろから呼ぶ声がしました。

 

 

「あのっ…ともくんのお母さんですか!?」

 

 

もしや息子が何かやらかしたんじゃ…そう思って恐る恐る「はい、そうですけど…。」
と振り向いた視線の先には、泣きそうな顔のひとりのお母さん。

 

やっぱりなんかやったか!?と「あ、あのうちの子何か…」と言いかけた時

 

「あのっ!うちの子も自閉症って診断されたんです!! だからっあのっ…。」
泣きそうどころか目には涙がたまっています。
聞くと同じクラスの男子のお母さん。後ろには大人しそうな、男の子。

 

 

「まぁまぁ」となだめ、確かにうちの子はそうだとカミングアウトしているものの、初めて話すお母さん。
うちの子の事は先生から?と詳しく聞いてみると

 

「保育所に入る前に市役所で同じ診断名の栗本くんという子が居ると聞いてきた」と。

 

 

そうか、それでか~って役所!!個人情報どうなってる!!(笑)
(特にクレームは入れていません。びっくりしただけで(笑))

 

『母親としては、診断を受け入れてはいるものの、やはり療育を受けさせるとなると割り切れないものがある。
とはいえ、将来が心配でどうすればよいのか分からない。今は1年ほど成長が遅れている。
ともくんのお母さんがどんな風にしているのか聞きたくて。』

 

今から考えれば、保育所の外の立ち話にしては中々ヘビーな内容です。

 

 

親としては、一度でも療育に通わせてしまうと、子どもを「障害者だと決めつけた事にならないか」という事が
気にかかっていたそう。とはいえ、やはり子どもの能力は伸ばしてやりたい。
揺れる思いが、伝わってきました。

 

 

そこで聞いてみました。「自分が2~3歳の頃って、何してたか覚えてる?」と。

 

 

 

首を横に振った彼女に伝えました。

「私は全く覚えていないし、写真で見てこんな事あったよ~って言われて『そうだったんだ~』と思う程度。
その時の出来事も、それでどう思ったかも覚えていないよ。
だから、この2年間、試しに療育に行ってみたらどうかな?
人生80年と考えたら、そのうちの2年間療育に通ったからって障害者としてずっと生きるわけではない
ピアノとか、ほかの習い事するようなつもりで療育に行ってみても良いと思う。もしかすると劇的に伸びるかもしれないよ?」

 

 

 

そのことばに大きく頷いた彼女は、その後OTやST等に息子くんを通わせる事に。
すると、保育所に入った刺激も相まって、なんと1年で(遅れているといわれていた1年分を取り戻す)
2年分の成長を遂げたのです!

 

診断当初は「養護学校も視野に入れて」と医師に言われていたそう。
そんな事がまるでなかったかのように保育所を卒園し、そのまま地域の小学校の普通学級に入り、卒業して今では中学生。

先日、娘の運動会(その男の子の弟くんと私の娘が同級生です)で会った「彼」は、声変わりをして
身長もぐんっと伸びてカッコイイ青年になっていました(これがまたすっごい男前なんです!)。

 

そしてそのお母さんとは、あの頃の事を「心配したよね~!」と笑って話せる良いお友達です。

 

 

※成長には個人差があります。
療育に通ったからといって、必ず劇的に成長するわけではありません。
この事例は本当に「うまくマッチした」ケースです。

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